こんなパルフェは熱くて死ぬぜ『接客龍〜Team maid cafe Dragon』

『―――今日は、本当に、僕にとってもうまみのある話なんだろうね、高村君。』
『多分…な。
 アーリー、ダブル、ロックで。』
『どうしてここへ……!?』
『どうもこうもないさ。
 俺が板橋店長をここ呼んだ。……玲愛がいるとは思わなかったぜ。
 ついでに、勘定頼むぜ。』
『あんた店長なんだから自分で出しなさいよ…』


『僕に、なんの用だい……?』
『…………板橋店長にさ、
 うちらのバレンタイン合同企画を、ブリックモール委員会に提出してもらいたいのさ。』
(え?
 やめなさいよ…!!ムダよ……!!)


『……
 バレンタイン…合同企画……?
 ―――なんだい、それは?』
『今の委員会じゃ、由飛と玲愛のたてた企画がとおらねえからさ。
 要は、店長二名以上の推薦って条件を撤廃してえのよ。
 骨董屋の親父を説得してそれをやらせるつもりだったが、
 ピアノ運んだときに腰やっちまって動けなくてさ。』
『僕がそれをするメリットは、何もないね。』
『あるさ。』
『…………どうかな?』
『委員会の制度を変えない限り、結局うちらのような外様の店長は
 いつまでも下っ端の委員でしかない。
 しかし委員会制度を撤廃すれば、いくらでもあんたの息のかかった企画を通せる。
 委員会内での勢力を伸ばすことも可能になるわけだ…
 そんくらいの野心はあるんだろ?
 板橋店長。』
『いずれは―――僕がそう動くことも…あるかもしれない。
 しかし…それが、今である必要はない。
 このまま放っておけばカトレア君の案は消滅する。
 そうなれば、必然的に高村君がキュリオに来る可能性は高くなるわけだ。
 悪く思わないよう、当然の決断だ。』



(―――そう、店長の立場ならそれが当たり前…
 それを理由に仁がキュリオ行きを拒んだりしないのも店長はわかってる…)


『キュリオに行くのも、悪くねえ―――
 ―――だけどよ、
 そうなればきっと、今ほどアツくはなれねえ。
 その時の俺は、板橋店長が欲しがってる…俺…じゃねえかもな。』
『……なぜだ。
 なぜそこまでカトレア君に肩入れする。
 …僕には理解できない…』


『俺のファミーユ(チーム)に、
 玲愛が欲しいからだ。
 …………
 ファミーユブリックモール店は……
 俺の夢へ続く道なんだ。


 そこには玲愛が、どうしても必要なんだ。』


『―――ひ、仁、あんた……何言ってるのよ。
 私は最初からキュリオのメンバーよ。
 そもそも私はキュリオのチーフなんだから……!!
 今さら当たり前のこと―――


(―――初めて)


『言わないで!』


(初めて私を必要だと言葉にして―――


 ……私が今まで仁と喧嘩したり言い争ったり勝負したりしてきたのは―――


 仁と初めて会った時から、―――ずっと、


 結城店長よりも、


 誰よりも―――


 あなたに―――


 認められたかったからかもしれない!!)


『―――話が、それで終わりなら僕は帰るよ…』


『ククク。
 じゃあ聞きたくないのかな?


 板橋店長が、オレを手に入れて―――ブリックモール内でも勢力を伸ばす、
 最高のシナリオを…………さ!』