笹森 花梨編

「笹森会長は、こっちで俺とお話だ。」



(中略)



「―――何あせってんだ?」



「先生に、ミステリ研究会を廃止にすると宣告されたの……!!
 どういう意味かわかるよね……?
 私はもう新しい同好会設立さえ、できないわけ!
 だから、飛躍的な実績を上げて、担任をもう一度振り向かせないと……!!」



「―――笹森、
 担任は、もうどうなっても同好会を復活させないよ……」



「え。」



「ただ敵を作るだけの発言を、怒りにまかせて口走るようなタマじゃねェ。
 会長の前ではっきり口にしたということは―――
 すでに別の部活動昇格候補を見つけ、推薦の確約を与えたという事だ。」



「………ゲーム……
 オーバーか……」



「なァ、まだ勝負は終わっちゃいねぇよ、きっとまだ何か方法があるさ!
 諦めるのは会長らしくねェ…」



「これ以上!
 私に何ができるっていうの。
 たかちゃんはいいよね、いつも私に振り回されたときのことだけ考えていられて。



 私が―――
 たかちゃんに会ってから、どれだけ辛い思いをしてきたか考えた事ある?
 ミステリ研究会の非日常の活動と、普通の女の娘でいること、
 両方をないがしろにすまいと頑張ってきた。
 だけどもう限界。
 私の中で何とかバランスをとっていても、いつもたかちゃんがかき回しに来るんよ。



 もうおかしくなりそうよ!!



 ……ねぇ、



 あんまり、イジめないでよ。



「………
 びっくりだ。
 


 『普通』の娘に戻った会長も―――
 悪くない。」