姫百合 珊瑚・瑠璃編

「貴明ー、さんちゃんから聞いとると思うけど…」



「……!
 プ、プログラム開発の件…だよね…
 …本当に、俺なんかで……?」



「さんちゃんの人選や、
 無論、引き受けてくれるやろ?」



(―――結局、俺には選択肢などないのだ。)



「―――ああ。」



(俺にはこの二人の頼みに逆らう事は出来ないのだから……)



「早速さんちゃんにも報告しとかんとな。
 プログラム室の中におるん?」



「いや、さっき屋上の方へ…」



「さん…」



「……一体、何を……!!」



「………………
 イメージプログラミングや!!」



「イメージ…プログラミング?」



「一流と呼ばれるプログラマーは、
 脳内に極めてリアルなPCイメージがあって、
 それに入力する事で訓練をする―――
 よほどの集中力とプログラムへの理解がないとでけへん業や。



 さんちゃんは今、OSを打ち込んでるんや。」



「るー!」



「るー……」



「なーなー、にいちゃん、覚悟は決まったー?」



「…………」



「OKやてー」



「瑠璃ちゃんが答えてどうすんのー。
 どうせにいちゃんの事や、断ったら瑠璃ちゃんに蹴り殺されて
 南港に沈められる、とかつまらん事ばっか考えてたんやろ?



 うちらの事は関係あらへんよ?
 ゆーたやろ?にいちゃんの意志で決めてーて。」



(…そんなこと言われても、断れるわけが…)



「OSに心を入れるゆうんは難しいんよ。
 おっちゃんが前担当しとったHMX-12、通称マルチも不具合おこしよった。
 今のうちでも、3回はシステムダウンするかもしれへん。



 でもな、にいちゃん、にいちゃんがおれば
 それが2回に減るかもしれない。




にいちゃんが、必要なんや。