小牧 愛佳編


「真委員長ォー
 お前は、委員長にはなれない。
 委員長になるのは、この小牧だからさ。」



「どういうつもり、河野くん。
 委員長になるのは私だなんて、真委員長を挑発して……」



「まだ書庫のバーコード貼り付けのカンファレンスの途中だろ。
 その話は終わってからにしようぜ。書庫の仕事が第一だ…」



(中略)



「これで今日のカンファレンスは、終わったんだよ、ですよね?」
「………ああ。」



「河野君と真委員長の間に、過去に因縁があるのは知っているけど、
 感情に任せて彼を挑発するのは、今後絶対にやめてください!

 私だって、勝手に怪我して委員長職を任せていったあの人に、
 言いたい事は山ほどあります!!

 けれど、それを口にしてはいけない!
 真委員長を意味なく挑発しても何のメリットもないわ。
 彼が委員長に就任しても、新クラスを存続させる可能性だってあるのだから!!」



「小牧に賛成だ。
 お前の気持ちもわかるよ、…貴明。
 だが俺たちが真委員長と闘うという事は、
 安っぽい挑発をする事ではなく、奴が見捨てたクラスメートを救う…ということじゃないのか?」



「真委員長が、俺達のクラスを動かせるわけねーだろ!
 ……小牧が委員長になるしかねえよ!!」



「まだ、そんな事を……!!
 もう私は、立候補に必要な推薦すら受けられないの!
 万一他のクラスから推薦を受けても、
 図書委員長が推す真委員長相手に、
 クラスの投票で過半数など取れっこないんです…!

 スーパーマン気取りは、書庫の中だけにしてください!」


フッ


「いつからそんなバカ正直になっちまったんだい、小牧らしくねーぜ。
 ………ま、らしくない小牧を見るのも嫌いじゃねーけどよ。

 確かに今の選挙制度じゃ、小牧は出馬できないし、出ても勝てない。
 だったら



 選挙のルールを、変えればいい。



 生徒全員に投票権を与えれば、勝てるんじゃねーの?」




「……選挙の、ルールを、変える……?」



「ククク、新クラスになったばっかのころ、
 なんでもいいから委員会に入って、雑用やれって言われてさあ。
 絶対仕事はねえとふんで選挙改革委員会ってのに入ったんだけど、
 なんなの?アレ。」



(中略)



「人に頼られる事で、小牧の右に出る者はいない。」



「―――私に、全校生徒からの票が集まると思う……?」



「小牧が人のために尽くしてきた事が

本物ならな。」