向坂 環編


「ククク。じゃあ聞きたくねぇのかな?
 タマ姉がオレを手に入れ―――
 学内でも勢力を伸ばす、最高のシナリオを…………よ!」




マッカランシングル・ロックで。
 …………帰るのは
 タカ坊の言う最高のシナリオとやらを、聞いてからにしましょうか……」



「クククク。」



 (………一体
 何を話すつもりなの……!?
 ―――河野君!)



「俺達はよ、選挙改革案を委員会で通してくれればそれでいいんだ。
 小牧と真委員長の選挙戦の勝敗まで、
 タマ姉に責任持てとは言わない。



 ……もし、小牧が真委員長に敗れたら―――
 俺は、おとなしくタマ姉の待つ九条院に行くぜ。」



「フッ、フフフフ
 タカ坊の言う最後のクラスとやらを、学校に残して……?」



「それはタマ姉次第さ。」



「…………なるほどね。
 しかし、それが私にとって最高のシナリオと言えるのかしら……?



 当然、あなた達なりに委員長戦に勝つ青写真は描いているはず。
 私としては万一、小牧さんが勝つと言う可能性も考慮する。



 しかし、小牧さんが勝った場合私にメリットはない。
 ―――ただの道化よ。」



「クッ。
 クックックッ。
 なに言ってるんだい?タマ姉………!!
 委員長戦の勝敗がどうなろうと、俺はタマ姉に何も言うつもりはないんだよ。
 ………
 ――――って事は、



 タマ姉が、
小牧を潰せばいいんだよ……!!



 ……!



 (……この人、何を…!!)




 「私は、本気でやるわよ。」



 「……」



 「クククク。
 真委員長にタマ姉の票を売ろうが何しようが…
 それで小牧を潰せるなら、やってもらってかまわないよ。」



「…私は、
 運任せにサイコロの出目に張るだけのバクチは、性に合わないけど…



 ………このバクチは、
 好きなだけ、
 サイの目に仕掛けを打っていいわけね……



 面白くなってきたわ…
 ………おごりよ。」



「…ありがとう。」



(―――今この人は、私を選挙で落す戦略を冷静に組み立て始めている―――!!
 …だけどそれは、話に乗ってきたという事―――)



「―――最後に、
 もう一つ、提案がある。」



「まだ何か、あるの?」



タマ姉が俺達を手に入れ、
 その上、委員長会最大派閥の図書委員長派にくさびを打てる、
 これこそ最高のシナリオだ。」



 ……!!



タマ姉自身が候補者を立てて、
 委員長戦に―――勝つ。
 ………ってのは、どうかな…?
 ……タマ姉みたいな女性には、
 そういう華やかなのが
 一番似合うと思うよ……」



「フッ、
 フフフフフフ。
 ―――なるほど。」



「クックックッ……
 あなた達は、三人目の立候補者が、
 欲しいわけね…………!!」



「クククク。」



「票を三つに割れば、
 弱小候補でも勝つ可能性が生まれる……そういう事ね。」



「ヘヘヘヘ。
 ―――まあそんなトコだよ。
 ただ…三人目の候補者は、
 ………無理に、タマ姉に立ててもらわなくてもいいよ。
 ダメならダメで、
 他の委員長をたきつけるだけさ。」



「…フフフ。
 私に候補者の心当たりがなければね…
 ――――ね。」



(中略)



「速やかに優秀な人材を集めていくのが
 日本の教育界が生き残る道よ。
 私は、
 そのために学園に呼ばれた……!!
 三年生になってからの転入がその第一歩!
 タカ坊やこのみはどうしても私に必要な子!!
 タカ坊は、
 私を欲しいと思った事は―――
 ないの……?」



「―――いずれ、
 組んでみたいと思ってる、一人だよ。」



「―――直に、そうなるわ。」



「近々、ミステリ研究会の不祥事について、臨時の委員会があるわ。
 ―――そこで改革案を提出してみます。
 だが、手を貸すのは、そこまでよ。」



(これで、選挙改革案が提出されるけど……
 ひょっとして私は―――
 図書委員長以上の敵を、
 作ったのかも……
 しれない。)