昨日のことを思い出したのか、瑠璃ちゃんはクッションをギュッと抱きしめると、
今にも泣きそうな顔になった。
俺は瑠璃ちゃんにゆっくり近づいて言う。
「珊瑚ちゃんもイルファさんも心配してる……」
「……」
「帰ろう?瑠璃ちゃん」
俺はそんな瑠璃ちゃんの顔を覗き込み、念を推す様にもう一度聞いた。
だけど瑠璃ちゃんは小さく呟くように言った。
「帰られへんよ……」
「帰れない?どうして……?」
「だって……ウチ……さんちゃんにひどいこと言うたもん……」
瑠璃ちゃんはその言葉を口にした。
「死んじゃえって……もう…D.O.A(Dead on Arrival・病院到着時死亡)や……」
そう言うと、瑠璃ちゃんの目からとうとう涙がこぼれ落ちる。
「瑠璃ちゃん……」
俺はその涙を指先でぬぐって諭すように言った。
「勝手に決めちゃいけないよ。
言ったのは昨夜だったね。
で、言った直後にイルファさんが止めてくれた……
だから今はまだNEAR D.O.Aだ!!」